税務上は税率の高い国で支払利息を起こして、税率の低い国で受取利息とした方が企業グループ全体で考えると税務コストを下げる気がします。こういったことを避けるための税制に過小資本税制があります。これは過度に(支払利息を発生するために)借入金に依存するファイナンスを制限しています。
日本の親会社は、日本自体がそれほど法人税率の低い国ではありませんから、日本でファイナンスをして、低税率国に貸し付けるというインセンティブは働きにくいです。但し、日本の親会社が欠損金を抱えている場合には、低税率国に貸し付けて日本の親会社で吸い上げるということは検討の余地があります。
過少資本税制は例えば、中国、韓国などにあります。
(中国)
負債:自己資本が1:2です。これを基準比率として、これを超過する負債の利息は損金に算入できません。
(韓国)
第三者から借り入れた金額が国外支配株主の出資金の3倍を超過する場合には、その超過分に対する支払利息及び割引料は損金に算入せず、配当またはその他社外流出として処分します。
過少資本税制が制度上なくても、利息の損金算入制限を行っている国があります。
(香港)
基本的に日本親会社からの借入に係る利息は損金の額には算入できません。
(シンガポール)
支払利息の損金算入を判断する前に、その借入金の用途を検討しなければなりません。
資金使途 | 損金算入可否 | |
運転資金・設備購入 | 算入可 | |
出資・融資 | 利息を生んでいる | |
利息を生んでいない | 算入不可 | |
税金・配当支払い |
そこで、「支払利息の損金不算入額=支払利息×所得を生まない資産/総資産」で計算します。ここで言うところの所得を生まない資産とは、配当を生まない出資や利息を生まない融資等を意味します。