スタンドバイ・クレジットの仕組みと現状

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

スタンドバイ・クレジットとは、海外の金融機関から借入をするために、日本の金融機関がその債務(返済)を保証する、信用保証状のことです。仮に5億円を日本の金融機関が保証してくれたら、海外で5億円分の借入が容易になります。なぜならば、現地の金融機関が、現地法人から返済を受けられなかったとしても、日本の金融機関が保証してくれるので、利息分だけ儲かります。普通、金融機関は元本の返済についても、返ってこないリスクを負っています。それがないんですから、海外の金融機関としてはブラボーな制度です。

現地の金融機関からすれば、日本企業は外人の企業です。ましてや、進出して間もなくであれば、日本の創業融資と同様に、実績のない企業にお金を貸すことはありません。もちろん、日本の企業でいきなり海外に会社を設立しても、現地金融機関から借り入れることはできませんし、日本の金融機関がスタンドバイ・クレジットを発行してくれません。あくまでも日本の親会社がそれだけお金を返済する能力があって、その信用力で、信用状を発行してもらえることになります。

制度を利用するメリットとしては、次のようなものがあげられます。

  • 海外で円滑に低利に(厳密には競争力のある金利で)海外金融機関から現地流通通貨を調達することができます。
  • 現地流通通貨にて借り入れを行うことで、現地の事業活動で得た資金をそのまま返済に充てることができ、為替リスクを回避することができます。
  • 本制度の利用をきっかけに、海外金融機関の持つ様々な金融商品や情報サービスを利用することが可能となり、海外現地法人等の現地での資金調達力や情報収集機能の強化が期待できます。
  • 海外現地法人等が国内親会社から資金調達(出資受け入れや借り入れ)する場合に比べ、国内親会社の財務体質の改善(バランスシートのスリム化)が期待できます。

このスタンドバイ・クレジットを積極的に推進しているのが、商工中金と日本政策金融公庫という政府系金融機関になります。ここでは日本政策金融公庫の制度を表にまとめています。

ご利用いただける方 スタンドバイ・クレジット(以下「信用状」といいます)の発行が、海外現地法人等が提携金融機関から現地流通通貨建て融資を受けることを目的としたものであり、かつ、次の1~7のいずれかに当てはまる方 経営強化法に基づく経営革新計画の承認(変更承認を含む)を受けた方 経営強化法に基づく異分野連携新事業分野開拓計画の認定(変更認定を含む)を受けた方 経営強化法に基づく経営力向上計画の認定(変更認定を含む)を受けた方 地域資源活用促進法に基づく地域産業資源活用事業計画の認定(変更認定を含む)を受けた方 農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画の認定(変更認定を含む)を受けた方 農業競争力強化支援法に基づく事業再編計画の認定(変更認定を含む)を受けた方 農業競争力強化支援法に基づく事業参入計画の認定(変更認定を含む)を受けた方 (注) 本制度により資金調達を行う海外現地法人は、お客さまが経営を実質的に支配している先で、かつ、上記の計画においてお客さまと共同で事業を行うこととされている先に限ります。
補償限度額 1法人あたり4億5千万円(1.海外支店や分工場等、国内親会社と法人格が同一の場合は国内親会社毎に4億5千万円、2.海外において別個に法人格をもつ場合は当該法人毎に4億5千万円が補償限度額となります)
補償料率 信用リスク・信用状有効期間等に応じて所定の料率が適用されます。
信用状有効期間 1年以上6年以内
担保・保証人等 担保設定の有無、担保の種類などについては、ご相談のうえ決めさせていただきます。 一定の要件に該当する場合には、経営責任者の方の個人保証が必要となります。
海外でのお借入れ条件 融資条件(期間・返済方法・金利等)の詳細については、提携金融機関が決定しますが、以下の内容であることが必要です。 融資金額および通貨:信用状の補償金額の範囲内。現地流通通貨建て。 資金使途:承認または認定を受けた計画事業を行うための設備資金および長期運転資金 融資期間:1年以上5年以内
提携金融機関 (括弧内は本店所在国・地域) 平安銀行(中国)【対象地域:中国全域】、インドステイト銀行(インド)、バンクネガラインドネシア(インドネシア)、山口銀行(日本)【対象地域:中国の青島・大連周辺】、KB國民銀行(韓国)、CIMB銀行(マレーシア)、バノルテ銀行(メキシコ)、メトロポリタン銀行(フィリピン)、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(シンガポール)、合作金庫銀行(台湾)、バンコック銀行(タイ)、ベト・イン・バンク(ベトナム) (本店所在国・地域の英語名のアルファベット順)

経営強化法に基づく経営革新計画の承認、経営力向上計画の認定を受ける必要がございます。こちら経済産業省経営革新等認定支援機関でサポートした方がスムーズです。

なお、平成 28 年度の本制度の利用実績は 103 先(タイ 65 先、韓国 7 先、中国(香港含む) 7 先等)と過去最高となり、制度開始以降の累計実績は延べ 317 先となっております。今後はさらなる拡大が期待されています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

海外進出をお考えですか?地域問わず海外進出を支援します

海外進出プロでは、海外に進出する際に必要な

  • 法務
  • 財務
  • 会計
  • 税務
  • 資金調達

を中心に、スムーズに海外進出を果たすための支援をしております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


ご相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*