海外現地法人の資金調達について

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日本国内市場は少子高齢化や産業の空洞化に伴う市場縮小が進んでおり、内需の拡大が見込めない環境下において、海外の需要を取り込むために、海外へビジネス展開される企業も多くなってきました。特に地理的な面や安全性、成長性から、アジア新興国への進出に特に目覚ましいものがあります。

しかしアジアへ進出する企業が、現地で安定的かつ継続的に事業展開を進めるにあたっては、円滑な資金調達が欠かせません。

とはいえ、アジアにおいては、現地独特の金融規制や、外資企業や外貨建て資金に対する規制が存在し、加えて、日系現地法人への信用力不足(外国にしてみれば、所詮日本企業は外国の得体のしれない企業)のため、スムーズな資金調達ができないのが現状です。

従いまして、現状では、資金は親会社・グループ会社等からの出資や借り入れで賄う傾向が強く、外部からの資金調達は全体的に少ない傾向にあります。しかしそれができるのは日本国内でそれなりに大きな実績を上げている企業ばかりです。当然、日本での実績が必要不可欠ではありますが、海外市場に早期に打って出る企業があってしかるべきです。政府においても、海外戦略が今後の日本の国力を維持するとの考え方の元、積極的に支援をしています。

日本政府がどのような支援を行っているか、見る前に、まず、通常海外子会社がとっている資金調達手段を見てみましょう。

(1) 親子ローン

日系現地法人が日本の親会社から直接融資を受けるスキーム。現在最も多く行われている資金調達方法です。特に進出間もない企業においては一般的な調達方法でもあります。また、大企業はキャッシュマネジメントシステムを導入し、海外に金融子会社を設立して、一括して海外での資金管理を行う企業も多くなっています。元の原資は親会社の内部留保、あるいは金融機関からの借入や増資等になります。

(2) 出資(増資)

日系現地法人が日本の親会社から資本投下を受けるスキーム。親子ローンと同じように進出間もない企業にとっての調達方法です。上記は現地子会社に対する貸付でしたが、これは出資(増資)になります。日本国内での手続きの方が厄介になるでしょう。金額次第ですが、取締役会の承認等も必要になります。

(3) 現地金融機関からの資金調達

現地法人が現地の金融機関から融資を受けるスキーム。親会社の状況によっては親会社等からの出資や融資はスムーズに行われない場合があります。今回は深く言及しませんが、外資規制で資金使途が限定されたりもします。

また、現地法人が現地の金融機関から調達できれば、資金繰りにも余裕が生じます。しかしながら、現地法人が現地の金融機関から融資を受けられるのは、事業がある程度軌道に乗るまでは非常に困難です。また、融資が受けられても、金利が高くつく場合もあります。

現地法人がその信用力で融資を受けるのが困難な場合は、親会社の信用力を元に融資を受ける方法があります。

これは親法人の信用を元にして、スタンドバイ・クレジット(信用保証状)を日本の金融機関に発行してもらって、現地の金融機関に融資の依頼をします。仮に海外現地法人の融資返済が遅延したり、返済不能となった場合には、スタンドバイ・クレジットの発行金融機関が、代わって債務の返済を行います。最終的には債務の返済を行った日本の金融機関は、その債務の返済を日本にある親会社に求めます。

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