配当に関する海外の特殊事情

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現地の配当源泉税は親会社にとっての税務コスト(いわゆる取られ損)になりますから、資金還流の点からは配当源泉税率の低い国に子会社があれば望ましいことになります。主要アジア諸国の配当源泉税率は次の通りです。

税率 注意事項
中国 10%  
香港 0%  
インド 0%  
インドネシア 10% 保有期間12か月上保有割合25%以上
韓国 5% 保有期間6か月上保有割合25%以上
マレーシア 0%  
フィリピン 10% 保有期間6か月上保有割合10%以上
シンガポール 0%  
台湾 20%  
タイ 10%  
ベトナム 0%  

上記を見ると、台湾のような源泉税の高い国では資金還流における税負担が増えます。またアジアに複数の子会社を持っている場合には、日本の親会社が直接保有せず、香港等に統括会社を保有させた方が課税が有利になるケースもあります。

配当にまつわる特殊な事例を3つほど挙げておきましょう。
(1) 配当分配税(インド)
インドの子会社からの配当には源泉税を課されないものの、配当分配税(Dividend Distribution Tax)なる税金があります。これは、配当決議または配当支払いを行う法人が配当支払い額に対して15%の税率を課されます。つまり配当を受領する親会社ではなく、支払う子会社側で課税されます。当然のことながら、日本の親会社での外国税額控除の対象とはならず、単純にインドの子会社での税務コストになります。

(2) 未分配利益に対する営利事業所得税(台湾)
配当を払ったら高い源泉税が取られ、配送しなければしないで税金が取られます。税引後利益で配当しない部分の10%の追加課税が行われる制度です。但し、この未分配利益の10%の営業所得税課税については、実際に配当を行う際に、その配当に対応する部分を配当に伴い源泉税額から控除することができます。

(3) 留保金課税(フィリピン)
10%の留保金課税がありますが、対象は発行済株式総数の50%以上が20名以下の個人株主によって直接または間接に保有されている会社です。株主が個人でない場合にはその法人株主のさらに株主まで遡ります。日本の親会社が上場企業であれば適用されるケースも少ないでしょうが、オーナー企業であった場合には注意が必要です。

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