日本の親会社が中国の子会社に出向者を派遣する場合、その出向者の派遣が中国の税務当局によりPE認定され、現地での課税が発生する問題が生じています。
日本としては、人材を純粋に提供しているだけなのですが、中国の税務当局は、出向者を通じて中国子会社に役務を提供しているとうがった見方をするケースがあります。要するに出向者は中国企業からコンサルティング報酬をせしめるために来ているのではないかと考えるのです。
出向者がPR認定されないためには、日本親会社からの出向者が中国子会社のための業務に従事し、中国子会社の管理下にあることを示さなければなりません。そこでポイントとなる形式は次の通りです。
形式面 | 実態面 |
「雇用契約書・出向契約書に整備」 純粋な出向であることを書面で示しましょう。 「出向者の中国子会社での組織図記載」 出向者が中国子会社の一員として活動していることを示しましょう。 | 「中国子会社による出向者人件費の負担」 給与格差補填を加味し、基本は中国子会社が実質負担者になるようにしましょう。 「中国子会社による出向者に対する指揮命令」 出向者が日本親会社の指揮命令下にないことを示しましょう。 |
出向者の派遣期間を半年内にしてPE認定を回避することも考えられますが、中国子会社の工場内に日本親会社の固定的死せるが存在すれば、PE認定されるリスクがあります。
日本の親会社が海外の子会社に出張ベースで従業員を派遣する場合、その対価を回収する必要があります。当然、その海外出張が日本親会社のための株主としての活動であれば対価の回収が必要でない場合もあります。
海外出張については、出張経費、出張者の人件費相当額のような出張対価の額について、回収する場合としない場合の区分についての明確な基準が必要です。さらに、日本親会社の従業員が海外子会社に出張した場合の対価の回収に当たっては、海外子会社との間で契約書を作成しておかなければなりません。
海外子会社に出張関連費用を負担させる場合には、基本的には企業グループ内の役務提供と同じですが、中国の場合にはPE認定リスクも生じることに注意が必要です。
また、日本の親会社がタイに技術者を派遣して、その人件費をタイ子会社から回収する場合、租税条約上役務提供対価として源泉税はかからないはずですが、源泉徴収されることがあります。特に技術者の場合には、タイ子会社に何らかの技術移転があって、使用料の対価ではないかと思われ、課税されるケースがあるようです。