ある程度、進出してから実績を積んだ企業は、地場の金融機関から信用で借りられることもありますが、相当時間がかかります。地元の金融機関からすれば、得体も知れない外国企業ですし、最初から融資のお取引はできないのが現状です。
しかしながら、現地金融機関を融資の取引を勧める手段があり、それが、スタンドバイ・クレジットという制度です。これは、日本国内の親記者の依頼で、日本国内の金融機関が現地の地場の金融機関に対してスタンドバイ・クレジット(信用保証状)を発行し、日本の現地法人が、現地金融機関から直接融資を受けられます。
この方法であれば、会社のメインバンクが地方銀行であり、海外現地に支店を持たない場合であったとしても、現地の地場の金融機関との提携でサポートが可能となります。特に地方の中小企業が親会社の場合にはメインバンクがメガバンクでないケースも多いと思いますので有力な手段になります。もちろんのこと、スタンドバイ・クレジットは日本親会社の信用力で発行できる仕組みです。
地元金融機関からの融資において、懸念材料があるといえば、邦銀であれば同額借り換えを認めることが多いのですが、一度返済を要請されるケースがあります。このときに資金繰りに注意を要します。
資金調達の手順は次の通りです。
- 日本の金融機関は親会社から信用状発行依頼を受けて、親会社の診療力を審査し、現地の地場金融機関経由で融資先となる日系現地法人を審査します。審査通過後、親会社と日本の金融機関で信用状取引約定を締結します。
- 保証につきましては、親会社が日本の金融機関に、そして日本の金融機関が現地の金融機関に対して行います。両保証は同一通貨で実施される場合もありますが、外貨建て保証になります。
- 融資は人民元、外貨が選択可能です。ここで外貨を選択する場合には投注差の外債限度枠が適用されます。人民元の場合には限度枠外になります。
- 長期でも短期でも借入は可能ですが、短期借入の場合、支払記述での同額借り換えが認められず、一度返済を求められる場合があります。
次に、本スキームのメリット及びデメリットを見てみましょう。
メリット | 現地拠点を持たない地方銀行の活用が可能。 地場金融機関は、邦銀の現地拠点ほど、預貸率の規則達成が困難ではなく、邦銀よりも借り入れは容易。 現地資産を担保とする取引に拡大していく可能性がある。邦銀現地拠点ではそのような資産の担保が難しい。 |
デメリット | 邦銀との金融慣習とは異なり、戸惑うことがある(返済条件の移動、急な返済要請(邦銀でも貸しはがしするけどね))。 日本国内より金利水準が割高。但し、スタンドバイ・クレジットで相当程度緩和される。 |
このスキームでは、現地の金融機関の資金供給能力を活用するために、日本の現地法人にとって自由度や選択肢が増えます。地場の金融機関の方が現地設備や建物を担保と認めて、スタンドバイ・クレジットなくても直接融資を提供できるケースもあります。当然のことながら、それは実績を積んでいった場合の話です。
最初の現地の地場金融機関との融資取引を始めるきっかけづくりとして、スタンドバイ・クレジットが大いに活用できるでしょう。