中国における現地邦銀からの融資のメリット・デメリット

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邦銀の現地支店から、日系現地法人がスムーズに融資を受けられれば、心配ないのですが、そこはさすがに中国。貸し手にとっても借り手にとっても規制ががんじがらめで、調達はスムーズにはいきません。

また、現地法人が中国国内に保有する設備や建物についての担保も、現状では難しいのです。そのため、通常は日本の親会社の保証が求められます。保証に適用する通貨は外貨(日本円)になるので、邦銀現地拠点から人民元で借り入れる場合でも、「投注差」の外債限度枠に制限されます。

本来、人民元の融資であれば短期でも長期でも借り入れ可能なはずなのですが、このケースでは投注差の制約を考えなければなりませんし、さらに貸し手側(邦銀の現地支店)も、預貸率の制限から、大口取引先に優先するため、(取引の短い)中小企業はまともに借りられません。

なお、借り入れをするためには、最低でも借り入れ申し込みまでに登録資本金が当局の認可通りに払い込み済みであり、外貨で借りた場合には外貨管理局の許可が必要になります。

次に資金調達の手順を見ていきましょう。

  • 邦銀現地支店に融資の申し込みをすると、現地法人の貸し出し審査の他、親会社の信用力に対する審査を行います。この際、邦銀の本社の審査意見を求められます。
  • 通常、親会社の100%の債務保証が付けられます。結局のところ、親会社が借りるようなものです。
  • 邦銀現地拠点からの融資は、外貨建て、人民元建てでも可能ですが、親会社の債務保証が外貨(円)のため、貸出金額は「投注差」を考慮して決められます。
  • 返済は融資通貨と同じ通貨で行うことになります。

次に、邦銀現地支店からの融資のメリット・デメリットを見てみましょう。

メリット 日本国内の親会社の信用力で借り入れができる。
外貨でも人民元でも調達ができる。
借り手と貸し手という直接当事者が近くにいる自然な取引である。
デメリット 中国の金融規制や当局の指導で貸し出し法人が急に変更になる場合がある。
貸し出し規制が厳しく、日本で有力取引先でない場合は、新規の取引を受け付けない場合がある。
現地の担保が認められないため、日本の親会社の保証が必須になる。

本来であれば、現地企業の実力や財務状況に基づいた貸し出しが行われるべきですが、中国の規制が変化し、現地での担保価値についての評価能力や回収能力の限界もあり、親会社の信用力(日本国内での実績)で借入額や利率が決められてしまうのが現状です。そのため利用者からすれば、ほぼ親子ローンと同じ位置づけと見られてしまっています。

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