トルコの日系現地法人が融資を受ける際には、トルコの現地金融機関や邦銀のトルコ視点から融資を受ける事例は稀で、邦銀のEU拠点からユーロ建てで融資を受けている事例が多くなっています。それでもトルコの国内にある金融機関から借入をする場合には、ユーロ建てやドル建ては低金利でこそあるものの、リラ建ての融資が大半を占めているとのことです。
増資 | 現地借入 | 親子ローン(外貨融資) | |
資金の出し手 | 日本本社 地域統括会社 | 現地金融機関 | 日本本社 地域統括会社 国外金融機関 |
通貨 | リラ | リラ | リラ |
現地法人の金利負担 | なし | あり(高い) | あり |
為替リスク | なし | なし | あり(ヘッジ可) |
資金使途 | 規制なし | 規制なし | 規制なし |
トルコで外貨の短期資金を企業が借りる場合、財源使用税(RSF)が賦課されるため、財源使用税の賦課されない長期資金のほうが融資を受けやすいのが現状です。
仮に、低金利の外貨に着目して融資を受けても、返済の頃にはリラが減価して返済額がかさんでしまうといった問題が起きることを回避するため、少額(500 万リラ以下)の外貨の短期借り入れを制限する銀行もあるくらいです。このため、外貨建てにするか、リラ建てにするかは、販売・調達で用いている通貨のバランスやリラ安のトレンドも踏まえて検討する必要があります。
元来、トルコは国全体として貯蓄が少ない国です。個人向け1ヵ月定期預金金利は7~9%程度と高金利です。しかし、貯蓄を行える経済的余力がない国民が多く、人口の30%程度は銀行口座を保有していないのが現状です。結果的に、国民貯蓄が少なく、銀行としても融資資金に乏しい状況になっています。
(参考)基礎的経済指標
2015年 | 2016年 | 2017年 | |
実質GDP成長率 | 5.17% | 6.06% | 2.88% |
名目GDP総額 | 934.1(10億ドル) | 859.0(10億ドル) | 857.4(10億ドル) |
一人当たり名目GDP | 12,022USD | 10,910USD | 10,743USD |
政策金利 | 7.50% | 7.25% | 7.25% |
米ドル為替レート (期中平均) | 2.19リラ | 2.72リラ | 3.02リラ |
為替相場管理 | 変動相場制 |
出所:JETRO