資源を持たないシンガポールは国際市場への参入が重要であって、外貨規制は限られており、比較的に資金調達は容易です。現地法人の資金調達方法は、増資、親子ローン、現地での金融機関からの借入などがあげられます。ASEANの他の国は、現地通貨の使い勝手や外貨規制の面から、現地の金融機関からの借入を行わざるを得ない面もあったが、国際金融マーケットへのアクセスを考えると、むしろ積極的にシンガポールの地場の金融機関を活用した方が良いと思われます。
増資 | 現地借入 | 親子ローン(外貨融資) | |
資金の出し手 | 日本本社 地域統括会社 | 現地金融機関 | 日本本社 地域統括会社 国外金融機関 |
通貨 | シンガポールドル | シンガポールドル | シンガポールドル ・日本円・米ドル |
現地法人の金利負担 | なし | あり | あり |
為替リスク | なし | なし | あり(ヘッジ可) |
資金使途 | 規制なし | 規制なし | 規制なし |
さて、それぞれの特徴を簡単に見てみましょう。
(増資)
長期的に還流予定のない資金に適している。短期間で 親会社に還流する資金ならば不向き。
利益の範囲内でしか配当を還流させることが出来ない
減資には厳格な手続が定められている
(地場の金融機関からの借入)
現地通貨建の借入により、グループ全体にて為替の影響が抑えられる
設立から間が無い企業に対しては、親会社からの保証差入を求められる
(親子ローン)
資本金と違って流動性が高く、短期的に還流される可能性がある資金には向いている
親会社へ利子を支払う際に源泉税が発生(15%※)
利率の設定については移転価格税制に配慮する必要あり
(参考)基礎的経済指標
2015年 | 2016年 | 2017年 | |||
実質GDP成長率 | 3.57% | 2.24% | 2.40% | ||
名目GDP総額 | 308.2(10億USD) | 304.1(10億USD) | 309.8(10億USD) | ||
一人当たり名目GDP | 56,338USD | 54,940USD | 55,241USD | ||
政策金利 | 0.68% | 1.21% | 1.17% | ||
米ドル為替レート (期中平均) | 1.27SD | 1.37SD | 1.38SD | ||
為替相場管理 | バスケット方式による管理型変動相場制、非居住金融機関に対するSドル貸出規制 |
出所:JETRO
なお、日本政策金融公庫はシンガポール大手商業銀行の「ユナイテッド・オーバーシーズ銀行」と「スタンドバイ・クレジット制度」にかかる業務提携契約を締結しております。