メキシコ現地法人における資金調達の方法としては、「親会社等からの調達(親会社からの出資及び借入等)」、「金融機関等からの調達(邦銀現地拠点及び地場銀行からの借入等)」等がありますが、メキシコにおいては、資金調達に係る外資系企業に対する規制はなく、いずれの方法においても資金調達が可能です。
増資 | 現地借入 | 親子ローン(外貨融資) | |
資金の出し手 | 日本本社 地域統括会社 | 現地金融機関 | 日本本社 地域統括会社 国外金融機関 |
通貨 | ペソ | ペソ | ペソ・日本円・米ドル |
現地法人の金利負担 | なし | あり(高い) | あり |
為替リスク | なし | なし | あり(ヘッジ可) |
資金使途 | 規制なし | 規制なし | 規制なし |
現実的には、日系企業の資金調達の手段としては、親会社からの出資や親会社からの借入(親子ローン)が多くなっています。通常、親会社からの出資による資金調達は、現地法人の資本金が変更されるため、国によっては会社設立時と同様の手続きを取らなければならないこともありますが、メキシコにおいては「可変資本制度(Capital Variable: C.V.)」により、会社定款を変更せずに資本金を増減することが認められています。
また、邦銀の現地拠点を通した借入をする日系企業も多く、米国との取引を主とした自動車関連企業であることから、米国ドル建ての資金調達が多くなっています。特に、マツダやホンダ等の自動車関連企業の同国への進出ラッシュがあり、近年の同産業に対する資金ニーズが大きいものがあります。そのニーズの中でも初期投資、運転資金、設備投資等があげられます。メキシコで事業を行っている日系企業は、メキシコ・ペソ建ての資金調達を行う日系企業はそれほど多くはありません。地理的にもアメリカが近いため、ドルで十分というところでしょう。メガバンクは三菱東京 UFJ 銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が進出しています。
融資における外貨規制もないため、現状ではメキシコの現地金融機関との取引は、資金調達の多様化といったところのメリットにとどまるものと思われます。
余談としまして、地場の民間銀行のサービスレベルはあまり高くはなく、自動引き落としの設定を行っていたところ、銀行側が違う口座と間違って引き落としをしたり、勝手に口座を解約されたり、あるいは口座を開設したこともないのにブラックリスト名簿に掲載され、それを外すのに半年以上かかり、口座開設がなかなか認めてもらえなかったというトラブルもあるようです。かなり稀ではありますが。
(参考)基礎的経済指標
2015年 | 2016年 | 2017年 | |||
実質GDP成長率 | 3.3% | 2.9% | 2.0% | ||
名目GDP総額 | 18,551(10億ペソ) | 20,116(10億ペソ) | 21,785(10億ペソ) | ||
一人当たり名目GDP | 9,522USD | 8,562USD | 9,249USD | ||
政策金利 | 3.14% | 5.61% | 7.17% | ||
米ドル為替レート (期中平均) | 15.8483ペソ | 18.6641ペソ | 18.9265ペソ | ||
為替相場管理 | 変動相場制 |
出所:JETRO
なお、日本政策金融公庫は2015年1月22日にメキシコ大手商業銀行の「バノルテ銀行」と「スタンドバイ・クレジット制度」にかかる業務提携契約を締結しております。