海外子会社からの配当に関する留意事項

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海外事業に投資をした場合には、どのように利益を還流させるかも考えておかなければなりません。それは配当という形なのか、あるいは利息という形なのか。場合によっては海外子会社の売却によるキャピタルゲインもあるでしょう。このときに、資金還流手段の税務上の取り扱いはそれぞれ異なります。また、グローバル企業であれば、日本国内に完全に資金を還流させなくてもよいでしょう。シンガポールに統括会社を置き、そこに利益を還流させて、留保し、グループ企業のファイナンシャルセンターとして、各国への資金供給機能を持たせることもできます。

ここでは日本の税制上の留意事項を見ていきましょう。
(1) 外国子会社配当益金不算入制度
外国子会社で一度利益に税金が課されていますので、その利益を日本の親会社が受領したときにまた税金がかかることになると、二重課税が発生します。そこで本制度では、外国子会社からの配当を原則として95%免税としました(法法23の2)。
但し、外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける剰余金の配当等については、現地での配当源泉税に直接税額控除を適用できず(法法69条1項、及び法令142条の27項3号)、さらには損金の額にも算入できません(法法39の2)。そのため、海外現地での配当源泉税は日本の親会社にとってはダイレクトな税負担となります。

(2) 外国子会社の範囲
外国子会社は、以下のいずれかの割合が25%以上であり、かつ、その状態が剰余金の配当等の額の支払い義務が確定する日以前6か月以上継続している外国法人です(法法23条の2第1項、及び法令22条の4第1項)。
(a) 当該外国法人の発行済株式(自己株式除く)の総数のうちに当該内国法人が保有しているその株式の数の占める割合。
(b) 当該外国法人の発行済株式の売の議決権のある株式の数の内に当該内国法人が保有している当該株式の数の占める割合。

(3) 剰余金の配当の範囲
外国子会社配当益金不算入制度にいう「剰余金の配当等」には、みなし配当が含まれます。ここでいうみなし配当とは、外国子会社の株主である日本親会社が以下の事由で金銭その他の資産の交付を受けた場合に、その金銭等の額が、当該法人の資本金等の額のうちその交付の起因となった当該法人の株式に対応する部分の金額を超えるときのその超える部分の金額のことです。
(a) 合併(適格合併を除く)
(b) 分割型分割(適格分割型分割を除く)
(c) 資本の払い戻し(資本剰余金の額の減少に伴う剰余金の配当のうち、分割型分割による以外のもの)又は解散による残余財産の分配
(d) 自己株式又は出資の取得

(4) 外国子会社配当益金不算入制度の適用場面
配当だけでなく、みなし配当も適用の対象と含まれる場合がありますので注意が必要です。上記(3)の(c)子会社清算、残余財産の分配のときなのです。

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