シンガポールに統括会社を置くケース

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日本の親会社がシンガポールと香港、上海に子会社を置いていましたが、シンガポールを統括会社にして、香港と上海の子会社が孫会社になるケースを考えてみましょう。

(1) 香港及び上海持分の譲渡損益課税
(日本)

100%子会社に対する現物出資は適格再編となりますので、譲渡損益は発生しないと考えます。
(シンガポール)
法制上現物出資も可能です。日本親会社から上海子会社や香港子会社の全株式を譲り受けた時点では特段課税関係は生じません。
(香港)
譲渡対象子会社のある香港ではキャピタルゲインやロスは非課税です。日港租税協定でも本件の収益は特段課税関係は生じません。
(上海)
譲渡対象子会社のある中国(上海)では譲渡損益課税(10%)が生じます。但し、特殊税務処理の要件を満たせば課税が繰り延べられます。

(2) 配当金
(支払配当金)

シンガポール国内の法人から支払われる配当金はシンガポール国内外の株主に対しては課税されません。
香港子会社からシンガポール統括会社へ支払う配当についても香港では非課税です。
上海子会社からシンガポール統括会社へ支払う配当は、中星租税条約により原則5%となっています(本来は10%であるが、5%の軽減)。

(受取配当金)
シンガポール国外からの受取配当金は原則としてシンガポールで受領された課税対象となりますが、上海や香港子会社から受領した配当金は国外源泉所得の免税要件を満たしていればシンガポールでは課税されません。

(3) ロイヤルティ
(支払ロイヤルティ)
シンガポール⇒日本:10%が源泉徴収
香港⇒シンガポール:香港において通常、みなし所得率30%に事業所得税率16.5%をかけた4.95%の税率で源泉徴収
上海⇒シンガポール:企業所得税10%及び増値税6%、附加税(地方によって異なりますが13%)が源泉徴収
(受取ロイヤルティ)
香港・上海⇒シンガポール:課税対象。外国税額控除が可能ですが、金額は控除枠によります。

(4) 利息
(支払利息)
シンガポール⇒日本:日星租税条約で10%。但し、金融財務セクターインセンティブ等の認定を受けた場合には免除されます。
香港⇒シンガポール:香港に源泉があるものを除き課税なし。但し香港側で損金不算入となります。
上海⇒シンガポール:上海で10%の所得税と、5%の営業税、附加税が源泉徴収。

(受取利息)
シンガポール国外からの受取利息はシンガポールで受領された時点で課税対象。

(5) 統括業務に係るサービス料
原則シンガポールで課税。日本親会社が受けていたサービス料をシンガポール統括会社で受ける場合、タックスヘイブン対策税制の適用外であれば、日本とシンガポールの税負担額減少のメリットが考えられます。

(6) シンガポール統括会社の資金活用
グループ再編によって、各国で生じた源泉税を低減させ、その分シンガポールで資金をプールし、域外再投資や融資に回すことでシンガポール統括会社が優遇税制の恩恵を受けられる可能性があります。

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