相互協議が事後対策であるとした場合、事前確認制度は事前対策になります。事前確認制度(APA:advance pricing arrangement)とは、独立企業間価格の算定方法の合理性等について、税務当局が事前に確認する制度を言いまして、企業が確認された内容に基づいて申告を行う場合には、移転価格税制は適用されないことです。
APAを申請する場合、多くは取引の相手方の所在地国の税務当局も巻き込む形で、海外における移転価格課税のリスクを排除します。APA取得の最大の効果は移転価格リスクの完全排除と言って良いでしょう。APAにつきましても、相手国の事情やそもそもAPA制度の有無も問題となります。
また、台湾とは租税条約がないため、相互協議を前提とした二国間APAは締結できないことになります。但し、台湾の税務当局と一国内APAを提出することは可能です。
(インド)
APA申請書提出前に事前相談が必要。締結後、毎年年次報告書の提出が必要。APAの対象期間は最長で5年。過去の年度にさかのぼって適用するロールバック規定はない。二国間APAと一国内APAのどちらの制度もある。
(マレーシア)
APA申請書提出前に事前相談が必要。締結後、毎年年次報告書の提出が必要。APAの対象期間は最低でも3年、最長で5年。過去の年度にさかのぼって適用するロールバック規定がある。
- 申請された移転価格算定方法が過年度の課税における移転価格問題を解決する上で関連がある場合、かつ
- 過年度の課税を取り巻く特定の事実と状況が実質的に同様である場合
更新する場合は半年前に申請可能。
(タイ)
確認対象期間の初事業年度の最終日の半年前までに所定の事前相談申出書を税務当局へ提出。APAの確認対象期間は、3~5年の事業年度。原則としてロールバックの適用は認められていないが、相手国の関係で事実上のロールバック適用が考慮されることもある。なお、締結後年次報告書を提出要。
(香港)
一国内APAは例外的なケース。二国間または多国間が基本。対象年度は3~5年。ロールバックが認められるかは状況次第。APA締結後は年次報告書の提出が必要。