上海に統括会社を置くケース

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日本の親会社が上海、北京、深圳に子会社を置いていましたが、上海を統括会社にして、北京と深圳の子会社が孫会社になるケースを考えてみましょう。

(1) 北京及び深圳持分の譲渡損益課税
(日本)

100%子会社に対する現物出資は適格再編となりますので、譲渡損益は発生しないと考えます。
(上海)
法制上現物出資も可能です。日本親会社から北京子会社や深圳子会社の全株式を譲り受けた時点では特段課税関係は生じません。但し、持分出資及びその他の非貨幣財産出資の合計額が登録資本の70%を超えてはならないという規定があるので注意が必要です。
(北京・深圳)
譲渡対象子会社のある中国(北京・深圳)では譲渡損益課税(10%)が生じます。但し、特殊税務処理の要件を満たせば課税が繰り延べられます。

(2) 配当金
(支払配当金)

中国国内の法人から日本の親会社へ支払われる配当金は企業所得税の10%の源泉税が発生します。北京・深圳子会社から上海統括会社へ支払う配当は、国内取引となるため源泉課税は受けません。

(受取配当金)
上海統括会社が北京子会社及び深圳子会社から受領した配当金は全額益金不算入になります。

(3) ロイヤルティ
(支払ロイヤルティ)

上海⇒日本:企業所得税10%及び増値税6%、附加税(地方によって異なりますが13%)が源泉徴収
北京・深圳⇒上海:国内取引となるため源泉課税は受けません。
(受取ロイヤルティ)
北京・深圳⇒上海:通常の国内取引として上海統括会社の益金となり、起業所得税が課されます。また、増値税6%の課税対象になります(但し上海統括会社が増値税の小規模納税人の場合は3%)、及び増値税に対する附加税(地区によって異なりますが13%)が発生します。

(4) 利息
中国国内の法人が他の法人に資金を貸し付けるためには、中国銀行業管理委員会により設立認可された企業集団財務公司であるか、人民銀行に貸付業務の認可を受ける必要があります。通常どちらも困難ですので、統括会社の被統括会社への資金融通は銀行を介した委託貸付やプーリングの方法によります。

(支払利息)
上海⇒日本:企業所得税10%及び営業税5%ならびに営業税額に対する附加税(地区によって異なりますが13%)の源泉課税を受けます。
北京・深圳⇒上海:国内取引になるため源泉課税を受けません。

(受取利息)
統括会社の受取利息は、全額企業所得税の益金に算入され、5%の営業税及び営業税額に対する附加税(地区によって異なりますが13%)の源泉課税を受けます。

(5) 統括業務に係るサービス料
原則中国で課税。日本親会社が受けていたサービス料を上海統括会社で受ける場合、タックスヘイブン対策税制の適用外であれば、日本と上海の法人税率の差異による税負担額減少のメリットが考えられます。

(6) 香港統括会社の資金活用
香港やシンガポールと異なり、外貨規制や資金活用制限のある中国で上海統括会社に資金をプールするメリットはあまりありません。但し、中国国内に複数法人を持つ場合、ファイナンス機能を持つ統括会社を利用することでプーリング法によって中国でのグループ企業の資金効率の向上や被統括会社の迅速な資金調達を図ることが可能となると思われます。

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